progressのアニメ感想置き場

某レビューサイトで「progress」で活動していたアニメ好きの感想置き場です。

ランウェイで笑って  感想

文章を書くにあたって、自分の感情をコントロールするのは重要ですよね。

この前の推し武道の感想なんかは、感情のコントロールがうまくできず、文章整理が出来ていなかったのですが・・・

しかし、私の目標とする文章は、その作品を見た人が感じた気持ちを共有することのできる文章、またはその感情を整理された言葉に変換した文章であるので、どうしても自分の作品に対する感情と向き合うことは、大切なことだと思うのです。

 

今回の感想は、感情は「面白い」という単純な言葉を使って当てはめて、冷静さを保っているんですけど、何が面白いのか?という事を述べています。

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身長158cmの藤戸千雪の夢は、パリコレモデル。
モデルとして致命的な低身長を理由に、
周囲は「諦めろ」と言うが、それでも折れない。
そんなとき、家族を養うために
ファッションデザイナーの夢を諦めようとする都村育人に出会う。

――これは一途に夢を追って走り続ける、2人の物語。(公式サイトより引用)


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少年漫画のような熱さがある作品ですよね。
環境や身体的なハンデを負いながらも、ファッション業界の高みを目指し昇っていく少年少女達。

ハンデを持っている主人公たちが、仕事において相手にされなかったりと、心が折れそうになるところを、それを跳ね返すメンタリティと隠れた才能を劇的に描いています。

作品の成分的には、少年漫画的熱さ、展開のはやさ、若干のコメディ、服などのセンス、ファッションの知識、などが上げられるかな?

序盤で魅力的だった話は。雑誌編集者の地味系女の子が自身のファッションに諦めを持っいた所を、モデルショーでの千雪を見たときの心の救済を見たときに、ストーリー面でも面白いな!と感じました。育人や千雪といった当事者のポジション、それに直接的に影響されるファッション業界の人のポジション、それに加えて、ファッションに興味がない人達の目線やポジションを描くことで、視聴者、読者を引き込んでいます。

さて、私が注目したのは、ファッションを評価する際の構造と、言葉のセンスですね。
ファッション、と言っても私の中ではふわふわした概念ではあるのですが、都村育人が在するファッションの中における服飾において、
服飾の技術という物が、服を評価する際に評価基準になっている事。
これは一つの教養的な面白さがあり、技術として難しいか簡単かという、感性的な物を排除した評価基準であり実に面白い。
ファッションというと、自分の感性を重視するようなイメージがありましたが、デザイナーの要求するイメージの服を作るための技術、量産するための技術、そういった客観的な技術の基準が存在することがこの作品を見る上で面白い点です。

次に興味が湧いたのは、ファッション業界といっても、服を作る人、服を着る人等、様々な人が関わっているという教養のある作品であることですね。
それをさらに細分化すると、前者はデザイナーやパタンナー等、仕事がはっきりと分業化されており、業界の中身を知ることが出来ます。デザイナーは服のコンセプトに限らず、ファッションショーのコンセプトやストーリーを構築する。ファッション界は常に新しいコンセプトを求めており、それを提示するのがデザイナーの仕事の一部であることを描いている。知らなかったファッション業界のイメージが明確化されていく面白さがありますね。

先ほど述べた、服飾の技術、という基準に加えて、千雪の属するモデル業界の評価基準があります。
千雪が悩む身長について、確かにモデルにとって最低条件であったり大きなメリットであったりという点が描かれています。これは、モデルとは?という初歩的な理解を助ける意味合いも感じますし、業界の常識によるハンデがあってもその常識が覆るような逆転劇を描きたいというコンセプトも感じます。
その逆転劇のカギとなる、身長差を覆す評価基準とは?それは歩き方?服の理解?、コンセプトの提案?様々な客観的視点を用意してくれており、それも面白いのですが、この作品の少年漫画的面白さは、主観的視点、服を着ている時のメンタリティが重視されています。メンタリティによって、存在感が現れ、注目されることを描いていますね。

そして、上記の服飾、モデルの評価基準を、審査員が表現するときの言葉のチョイスが私は気になりましたね。もちろん、服の柄という物はパターンによって言葉が定義されている事が多いですが、それに加え、服のフォルムや、生地の質感、そういった物を的確に表す言葉選びに面白さを感じます。そして最終的に、服のコンセプトはどこか、技術的にどうかという評価をするために、服を理解する単語がハマる面白さ、効きなれない単語の新鮮味が面白いという事がありました。

さて、まとめますが、
この作品は、ファッション業界の客観的な評価基準やはっきりとした仕事内容を示してくれると同時に、その常識を打ち破る、主観的な精神的力のようなものでハンデを乗り越えていく面白さがあります。最後に端的に言ってしまえば、物語が熱い、ですね!
教養作品としての面白さと、熱さ有り、感動あり、ちょっと笑いありの少年漫画的な展開の面白さがうまく押し込められている作品だと思うので今注目の作品だと思います。